FEMtools 剛体特性エクストラクター(RBPE)
正確なFRFから構造物の剛体特性(RBP:Rigid Body
Properties)を同定します。
FEMtools剛体特性エクストラクターは、1セットの周波数応答関数(FRF)から構造物の剛体特性を同定するFEMtoolsのアドオン・モジュールです。次のような特性が加速度応答データの低周波部分から推定することができます。
- 質量(Mass)
- 重心位置(CoG)
- 質量慣性モーメント(MoI)
剛体特性は有限要素法解析のより高精度な解析として、サブストラクチャリング(部分構造合成)解析や動解析に使用することができます。
FEMtools RBPE ユーザーインターフェイス例
概要
剛体特性エクストラクター・モジュールは、測定データのアクセレランス(加速度/力)の周波数応答関数(FRF)を使用し、構造物の剛体質量特性(質量、重心および慣性)を同定するためのツールです。
剛体特性の推定は、一般に2つのステップで行なわれます。最初に、剛体応答(「質量ライン」と呼びます。)がFRFから推定されます。この質量ラインは、低周波サスペンション・モードと弾性モード間の水平部分の応答値に相当します。これらの値は最小二乗推定法多項式近似(例えば、二次近似)のによって得られます。一旦、質量ライン値が推定されると、第2のステップとして、剛体質量特性が1セットの代数方程式の解として得られます。
一般に、実験データは、ユニバーサルファイル(UF)によってインポートされます。このUFは、FEMtools
Frameworkの標準トランスレータです。FRFがその他のフォーマットで提供される場合、同様のトランスレータをFEMtoolsスクリプト言語で作成することができます。
抽出される剛体特性は、実験データの精度に依存します。そのため剛体特性を抽出するには、次のような条件を満たしていなければなりません。
- FRFは、フリー/フリー支持でのアクセレランス(加速度/力)データでなければなりません。
- 最小限として、3つの加振点(1軸あたり1つ)による6つの加速度応答データ、即ち、18のFRF(3×6)が必要です。
- 加振と加速度センサの位置(x、y、z座標)が必要です。
オプションのワイヤーメッシュがビジュアル化のために有効です。
結果の不確実性(誤差)は、ピックアップ位置、加振方向(特にインパクト・ハンマーの場合)、キャリブ゙レーションや測定セットアップの誤差、サスペンション(支持)方法や弾性モードの影響などに依存します。
必要なFRF表示機能として、サスペンション・モードおよび弾性モードの周波数間隔を定義し、質量特性(ライン)値を抽出することを可能にするためのグラフィックツールが提供されます。
剛体特性はテーブル形式で出力され、あるいはファイルとしてエクスポートされます。
応用
適切な実験(FRF)データによって得られた剛体特性は、有限要素モデルを最適化するための参照値として使用することができます。さらに、次のような応用が可能です。
- 自動モデルアップデートの参照値として剛体特性を使用する。
- 構造ダイナミクスのシミュレーションあるいは動解析において、モデルのサブストラクチャリング解析のためのコンポーネントの集中質量化
- モードベースの剛体モード生成
利点
- 操作性 -
1つのウィンドウによって、すべてのセッティング、データ・ビジュアル表示、テーブルを操作します。
- コストの節減 -
CoGやMoIを識別するための実験方法と比較して、既存の実験モード解析装置を使用し、低コストで、解析可能なFRFを収録することができます。
- ロバスト解析 -
剛体特性は1セットのFRFのカーブフィットと直交方程式の解から得られます。その誤差の推定法により、結果の不確実性を検証することができます。
主な特徴
- 剛体質量特性(質量、COGおよび慣性)の自動計算
- COGと慣性の計算オプションは質量値を指定できます。
- 加振と応答のDOFをコントロールすることができます。
- ポイントとクリックによる選択操作
- ローカル座標系での加振と応答のDOFの定義が可能
- 質量ライン値の識別のために任意の周波数間隔を指定することができます。
- 質量ライン値の識別のために補間方法を自動選択することができます。
- 剛体応答と質量ライン値に関する誤差推定パラメータの剛体応答アニメーション(測定データ、最小二乗データなど)
- 等価ブロックモデルによるCOGと慣性のビジュアル表示
- 同定された剛体質量特性のテキストファイル出力
- 同定された剛体質量特性をモデルアップデートの参照値としての自動定義
- 電子ドキュメンテーション化
- FEMtoolsスクリプトによるカスタマイズ
先行条件とライセンス
RBPEツールは、任意のFEMtools標準プロジェクトへの追加オプションとしてのライセンスを必要とします。 |